そして、失業手当をもらえる日数や金額は、自分の都合でやめたのか、会社側の都合でやめたのか、また退職時の年齢などによって変わってきます。
失業手当をもらう条件について詳しく見ていきましょう。
失業手当がもらえる条件とは
まず、失業手当をもらうためには、失業中であることと再就職の意思があることが前提になっています。
なので、基本的に失業手当をもらうにあたり仕事をするのはNGですし、ハローワークで最初に失業手当をもらう手続きをする時には、求職の申し込みも同時に行うことになります。
最初に手続きをしてから失業手当をもらえるまでには、失業中であることを確認するための7日間の待期期間に加えて、退職理由によって給付制限期間が設けられており、自分の都合で退職した場合は長く設定されています。
また、失業手当をもらえる日数(所定給付日数)は、退職後の準備ができていない可能性が高い、会社の都合で退職した人や、再就職が難しい年齢の高い人、家のローンや子供の学費などでお金がかかる世代の人が多くもらえる仕組みになってます。
ハローワークに失業手当をもらうための手続きに行く際は、以下の持ち物が必要になります。
- 雇用保険被保険者離職票1
- 雇用保険被保険者離職票2
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーカード
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cmの上半身のもの)
- 本人名義の預金通帳(インターネットバンクや外資系金融機関以外)
- 印鑑
次は、自分の都合で退職した人(自己都合退職)と、会社の都合で退職した人(会社都合退職)について詳しくみていきましょう。
失業手当(自己都合の場合)の条件とは
自己都合退職とは自分の意思や都合での退職のことで、転職、結婚、妊娠、出産、本人の意思による早期退職(優遇措置がある場合)、転居、などが含まれます。
ただし、職場の事務所移転や配偶者の転勤などで通勤が著しく困難になった場合や、家族の介護により仕事を続けることが困難になった場合など、退職せざるを得ない正当な理由がある場合は会社都合退職と同じ扱いになることもあります。
その場合は、ハローワークが特定理由離職者に該当すると判断する必要があり、管轄のハローワークによって判断の基準が異なることがあります。
自己都合退職の人は最初の手続き後、待機期間7日に加えて給付制限期間3カ月が経つまで失業手当を受け取ることができません。
自己都合退職した場合は、雇用保険の加入期間(被保険者期間)のみで所定給付日数が決定しますが、加入期間が1年未満だと失業手当を受給することができません。
被保険者期間 | 1年以上
10年未満 |
10年以上
20年未満 |
20年以上 |
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
さて、一日あたり失業手当がいくらもらえるかですが、これは「基本手当日額」といい、離職前にもらっていた賃金と年齢によって決まります。自己都合退職の場合も会社都合退職の場合も同じです。
基本手当日額=
(離職直前6ヵ月の賃金の合計) ÷ (180) × (給付率(45%~80%))
離職直前6ヵ月の賃金の合計 ÷ 180で、離職前の「賃金日額」が算出され、この賃金日額と基本手当日額は、離職時の年齢によって上限が決まっています。
また、「給付率」も離職時の年齢によって、45~80%の間で割合が決まっています。
ただし、賃金日額が2,500円未満の人の基本手当日額は、年齢に関係なく一律2,000円になります。
また、失業手当を受け取れるまでにとても時間がかかる自己都合退職の人が、どうしてもアルバイトなどをして賃金を稼ぎたい場合については、『失業保険中のバイトは危険!?注意すべき3つの条件』の記事で詳しくご紹介しています。
失業手当(会社都合の場合)の条件とは
会社都合退職とは会社の都合での退職のことで、倒産、リストラ、リストラの一環として行う早期退職などが含まれます。
ただし、無断欠勤が続いたり著しく勤務態度が悪いなど、解雇の理由が本人が原因となっている場合は自己都合退職と同じ扱いとなることがあります。
会社都合退職の場合は、待機期間7日後、約1ヵ月程で失業手当が振り込まれます。また、給付日数も自己都合退職よりも多くなるよう設定されています。
会社都合退職の場合は、雇用保険加入期間だけでなく、退職したときの年齢も所定給付日数の決定に関わってきますが、加入期間が6ヵ月未満だと失業手当を受給することができません。
被保険者期間⇨
離職時の年齢⇩ |
6カ月以上1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ー |
30歳以上35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
一日あたりにもらえる失業手当の算出の仕方については、自己都合退職の場合と同じです。
失業手当(アルバイトの場合)の条件とは
雇用保険というと正社員だけのもののように思うかもしれませんが、アルバイトやパートでも、条件を満たせば雇用主は雇用保険に加入させる義務があります。
雇用保険に加入していれば、自己都合退職なら1年以上、会社都合退職なら6ヵ月以上の期間加入していれば(ひと月に賃金の支払い日数が11日以上あった月のみカウントされます)失業手当をもらうことができます。
ただし、正社員が退職した場合と同様に、現在失業中であることと、就職する意思があることが前提となります。
アルバイトやパートが雇用保険に入る条件とは以下の通りです。
➀ 31日以上引き続き雇用が見込まれる者(雇用期間が定められていない者、雇用期間が31日以上である者、雇用契約に更新規定があって、31日未満で解雇されることが明示されていない者など)
②1週間の所定労働時間が20時間以上である者
➀、②を満たせば、雇用主が雇用保険の加入手続きを行います。雇用主は、その人を採用した月の翌月10日までに、「資格取得届」を提出し、公共職業安定所の長の確認を受ける必要があるのです。
雇用保険に加入していれば、雇用主から『雇用保険被保険者証』をもらうことになります。
ただし、基本的に学生は雇用保険に加入することはできません。ですが、定時制の学生や休学中、卒業見込証明書があれば加入できます。
また、会社の代表取締役や役員、海外の会社の日本の代表者などは加入することはできません。
アルバイトやパートでも失業保険をもらえるかもしれないので、もらい忘れのないようにしたいですね。